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参考文献一覧 ^ref01 ^ref03 ^ref05 ^ref07 ^ref09 ^ref11
原子核乾板の密度と組成について
原子核乾板 (Nuclear Emulsion) の組成や密度を実測することは難しい。
軽元素から重元素までの測定レンジを持つ組成の測定方法は存在しないため、同じ条件で全ての元素組成を測定することはできない。
また、環境の湿度が変化すると乾板に含まれる水分量も変化し、酸素や水素の組成が変化する。
製造工程から推定する方法については、原料の組成は測定しやすいものの、原子核乳剤を製造する工程に水洗工程があり、この工程で何がどれだけ流出したかの推定は難しい。
よくある測定方法
軽元素である水素、炭素、窒素、硫黄、酸素の質量比(通常の装置では水素、炭素、窒素)は、元素分析装置による測定が可能である 1。硫黄についてはその存在比が少ないため、元素分析装置での測定は一般には不可能である。
重元素については、銀、臭素、ヨウ素の比はSEM-EDXによる測定が可能である [^ref08]。
定着(FIX)前後の厚みと質量測定により、AgBrIとバインダーの比及び密度を測定することが可能である [^ref08]。
アルファ線の飛程からエネルギーとレンジ(飛程)の関係式を導き出す方法が最も精度の良い密度測定方法である 2。
アルファ線の飛程は約1μmの標準偏差を持つ分布となり、100イベント使えば飛程につく標準誤差は0.1μmとなる。
密度3.5g/ccのPo-212からのアルファ線の飛程は約50μmなので、飛程につく誤差は0.2%となる。この誤差は、密度の誤差に換算すると0.3%相当になる。
この手法で求められる密度は、アルファ線のエネルギーとレンジ(飛程)の関係式を媒介する、換算密度とも呼ばれるものであり、絶対値としての信頼性には議論の余地がある。
原子核乾板の組成および密度
以下、論文等で紹介されている各原子核乾板の組成を紹介する。
Emulsion Ilford G-5
|
H |
C |
N |
O |
S |
Ag |
Br |
I |
Mass % ^ref02 1 |
1.4 |
6.9 |
1.7 |
6.9 |
0.2 |
47.4 |
34.8 |
0.6 |
50% R.H. 。
[^ref13] の第3表のIlford G-5 の Nが0.67g/ccとなっているのは0.067g/ccの誤記と思われる。 4
Photographic Emulsion (ICRU-215) = Standard emulsion
|
H |
C |
N |
O |
S |
Ag |
Br |
I |
Mass % [^ref03] |
1.4 |
7.2 |
1.9 |
6.6 |
0.2 |
47.4 |
34.9 |
0.3 |
Fuji ET-7B ET-7C/D
- 密度: 3.73 g/cc (Fuji ET-7B)
- 密度: 3.60 g/cc (Fuji ET-7C/D)
- 密度: 3.63g/cc (ET-7D) [^ref11]
- 相対湿度: 68%
結晶サイズ
|
H |
C |
N |
O |
S |
Ag |
Br |
I |
ET-7D Mass g/cc ^ref09 |
0.05 |
0.31 |
0.1 |
0.226 |
0.0067 |
1.675 |
1.22 |
0.034 |
ET-7D Mass % ^ref09 |
1.38 |
8.56 |
2.76 |
6.24 |
0.18 |
46.25 |
33.69 |
0.94 |
ET-7C/7D Mass % 1 |
1.5 |
9.3 |
3.1 |
6.8 |
0.2 |
45.4 |
33.4 |
0.3 |
|
Binder |
AgBrI |
ET-7D Volume % [^ref11] |
55.0 |
45.0 |
- 密度: 2.71g/cc 7
- 密度: 2.84g/cc 乳剤層のみ [^ref11]
- 密度: 2.77g/cc 乳剤層と保護層 [^ref11]
OPERAの論文(シミュレーションも多分)は全ては密度2.71g/cc と表記されている。桑原氏の値となぜズレたのかは不明。
結晶サイズ
組成
以下の組成は乳剤層と保護層である。
|
H |
C |
N |
O |
S |
Si |
Na |
Sr |
Ba |
Ag |
Br |
I |
Mass % ^ref06 |
2.4 |
13.0 |
4.81 |
12.43 |
0.09 |
0.08 |
0.08 |
0.02 |
0.01 |
38.34 |
27.86 |
0.81 |
|
Binder |
AgBrI |
Mass % |
33.0 |
67.0 |
Volume % ^ref07 |
69.0 |
31.0 |
組成は原料からの計算値である。水洗工程でバインダーが水溶液側に抜ける割合に大胆な仮定が入っている [^ref11]。
J-PARC E07実験用の原子核乳剤。組成の参考文献は [^ref11]。
|
H |
C |
N |
O |
S |
Ag |
Br |
I |
GIF g/cc |
0.05 |
0.326 |
0.11 |
0.23 |
- |
1.6 |
1.166 |
0.033 |
GIF Mass % |
1.42 |
9.27 |
3.13 |
6.54 |
- |
45.52 |
33.17 |
0.94 |
GIF Atomic % |
38.56 |
21.10 |
6.10 |
11.17 |
- |
11.53 |
11.34 |
0.20 |
NのAtomic %を1としたとき、Oは1.83、Cは3.46である。
Nagoya NIT [^ref08]
- 乳剤層の密度: 3.44 g/cc
- AgBrの密度: 6.473g/cc
- ゼラチンの密度: 1.32g/cc
- PVAの密度: 1.19g/cc
結晶サイズ
- NIT 44.2±6.8 nm
- UNIT 24.8±4.3 nm
組成
|
H |
C |
N |
O |
Ag |
Br |
I |
Mass % |
1.6 |
10.1 |
2.7 |
7.4 |
44.5 |
31.8 |
1.9 |
Atomic % |
41.1 |
21.4 |
4.9 |
11.7 |
10.5 |
10.1 |
0.4 |
|
Binder |
AgBrI |
Mass % |
21.9 |
78.2 |
Density g/cc |
1.29 |
6.473 |
AgBrIの分量は原料からの計算値、HとCとNは実測値、Oはそこからの推定値である。
文責: 吉本
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参考文献