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はじめての応用行動分析 第一章 応用行動分析の基本的な考え方 討議のテーマ について

自主学習のためのメモ

  1. 応用行動分析が、生理学的説明や発達的説明、認知的説明を行動的説明よりも有用でないと考えている理由は何でしょう。

    • 有用性を議論する指標である「包括性」「妥当性」「予測性」「節約性」の4つを満たしていることが重要である。
    • 生理学的説明は、遺伝・先天的、生化学的、脳障害などといった、原因が生理学的な事象にあるとする説明であり、行動を説明するための妥当性はある程度満たしているが、人間の行動の一部しか説明できず包括性は満たしていない。ある障害の結果として特定の行動が生じることは予測が難しい。行動を改善するための直接的説明ではないため節約性も満たしていいない。
    • 発達的説明は、行動の全体像を経験的に捉えて説明が可能であり、包括性は満たしている。しかし、あくまで経験的なものであり、問題行動が発達段階の不具合であるかどうかの証拠はほとんどないので妥当性を満たさない。ある年齢における行動を予測できるものの、平均的描像のみで個人の行動を予測するものではない。問題行動に対する説明を発達的説明に求めたところで、改善する手立ては説明しておらず節約性もない。
    • 認知的説明は、知覚や学習に対する基本原理について説明しており、すなわち極めて包括的ではある。しかしながら、抽象的すぎて検証できず、やはり抽象的すぎて予測もできず、節約性についても同じです。
    • 行動的説明は、正の強化、負の強化、罰、消去、刺激制御などの、過去から現在までの観測可能な行動によって、観測可能な行動が生み出されるとするものである。生理学的説明によるもので一部説明できないものがあるものの、観測対象の短期的な視点にたてば包括的とも言えるほか、観測による結果であるため検証可能である。多くの観測結果という巨人によって予測性も満たしている。また、節約性は行動的説明の本質でありやはり満たしている。
    • 以上より、行動的説明は有用であると考えられる。
  2. 教師は、生理学的、発達的、認知的な説明から、自分の生徒たちについてどんな有用な情報が得られると思っているのでしょうか。

    • 行動の変容を目的としない行動の理由付けについては、生理学的、発達的、認知的な説明は有効だと思われる。場合によってはこれらの説明で納得しやすいし、保護者や地域に対する説明も容易かもしれない。例えば、発達的知見に立てば、今すぐに行動を変容させることは難しくても、時間が経てば解決してくれるかもしれないという期待を持たせてくれるし、実際にその期待は実現することも多いだろう。
  3. 行動を変化させるのにご褒美(結果事象)を用いることは過去多くの例があります。それと応用行動分析とはどう違うのでしょう。

    • 褒美と応用行動分析で言うところの正の強化子は同じときもあるが違うときもある。褒美は、過去の行動の結果として与えられるものであるが、正の強化子は未来の行動のために与えられるものである。
  4. オペラント条件づけとレスポンデント条件づけの違いは何でしょう。教師のためにこのテキストで、オペラント条件づけが強調させるのはどうしてでしょう。

    • オペラント条件づけとレスポンデント条件づけは、いずれも条件刺激によって誘発される行動の組み合わせであるが、前者は人がコントロールできる(随意的)であるのに対し、後者は人がコントロールできない(反射的)である。コントロールできない行為は極めて単純な行為にとどまるため、教師が生徒へ期待する内容としては随意的であるオペラント条件づけのみを対象にして良い。