物理の駅 Physics station by 現役研究者

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単スリットのフラウンホーファー回折のシミュレーション

http://www.sci.keio.ac.jp/gp/87B7D75A/A6070F75/6E345155.pdf

単スリットについて考えてみた。 スリット幅が波長に比べて十分広いか、スクリーンの位置が十分遠い場合には、回折による干渉模様を観察できる。

数式をPDFファイルからパクって書いておく。

\displaystyle
\begin{eqnarray}
\frac{xd'}{l\lambda}
 =
  \begin{cases}
    0, \pm\frac{3}{2}, \pm\frac{5}{2}, \pm\frac{7}{2},\cdot\cdot\cdot のとき明線 \\
\\
    \pm 1, \pm 2, \pm 3 \cdot\cdot\cdot  のとき暗線
  \end{cases}
\end{eqnarray}


  • x: スクリーン中央を0としたときの各干渉模様の位置
  • d: スリット間隔 今回は0.01 mm、0.1 mm、1 mmを試してみる
  • l: スリットからスクリーンまでの距離 干渉模様の位置を同じにするため、10 mm、100 mm、1000 mmを試してみる
  • λ: レーザー光の波長 そんなのないけど500 nmの波長とする

シミュレーションではスクリーンの空間で2ミクロンごと(画像の1ピクセルが2ミクロン相当、縦横2048ピクセル)に計算させた。最小のスリット間隔 10ミクロンの1/5なので十分だと思う(たぶん)。

f:id:onsanai:20200125031334j:plainf:id:onsanai:20200125031337j:plainf:id:onsanai:20200125031351j:plain
左から順にスリット間隔0.01mm、0.1mm、1mm

フラウンホーファー回折が成り立つ条件は、ざっくり

\displaystyle
\frac{d^2}{l\lambda}\ll1

らしい。各条件での左辺の値は0.02、0.2、2、であり、確かに一番右の画像ではきれいな回折像が確認できなくなっている。同じスリット幅でも、スリットとスクリーンまでの距離を10倍に離すと、以下の像が得られる。

f:id:onsanai:20200125033639j:plain:w220

ただし、横方向の干渉模様の位置を同じにするため、画像の1ピクセルを20ミクロン相当にした。そのため、縦方向にも縮んでしまっているが、横方向の回折像はくっきり確認できる。